ライフ・アクアティック(ウェス・アンダーソン)

 シンメトリーにこだわった構図、ちょっと奇矯な登場人物、傲岸不遜なくせにナイーブな主人公といったいつもの監督らしい要素満載。しかも親子の年の開きのある2人が同じ女性をめぐって三角関係(というか主人公の横恋慕)=「天才マックスの世界」、と崩壊寸前の小さな共同体がある事件を通して和解するまで=「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」という今までの作品を足して2で割ったような物語(「アンソニーのハッピー・モーテル」は未見)。

 映画そのものは面白かったし、しみじみとさせられるいい作品だったのだけど、それだけに次回作のストーリーが気になる。似たような物語を同じようなトーンで描くウディ・アレン的な監督なのか、全く新しい世界を見せてくれるのか・・・

 出演俳優が例によって豪華。特にいつも半ズボン(潜水服まで!)のドイツ人隊員役をウィレム・デフォーが怪演。ちょっと変わった人で、的外れな言動ばかりなんだけど、なんだか実際にいそうな佇まいが絶品・・・その一方でグリーン・ゴブリンのようなメーター振り切った所謂普通の「怪演」もレパートリーの範疇なんだからなぁ。この人の演技のレンジの広さは本当に感心します。

☆☆☆☆