大統領の陰謀(アラン・J・パクラ)

 最近ディープ・スロートが正体を明かしたこともあって原作が再発されたようですが、そういう世間の流れとは関係なく「ウィリアム・ゴールドマン祭り」の一環として鑑賞。

 やはり主役2人の熱演につきる。というか固有名詞が多すぎて事件の全容が掴みきれなかった。(事件を時系列に追ったものが特典として収録されているのがありがたい。)電話片手にメモを取りまくって、タバコ吹かしながらタイプライターを叩きまくる、というスタイルがとても格好いい。そこがしびれる。あこがれる。ゴールドマン相関図的に見ると、「明日に向かって撃て」「ホット・ロック」のロバート・レッドフォードであり、「マラソン・マン」のダスティン・ホフマンである訳だが、「マラソン・マン」とこの映画は同じ公開年なんですね。気がつかなかった。ネットって便利ね。あとやっぱりブラッド・ピットはレッドフォードとよく似ている。

 「ゴールドマン祭り」であるからには当然そこが注目点になるのだけど、ノンフィクションが原作だからあまり派手な脚色はできない。となると彼らしいカラーは期待できないかな、と思ってたら、しっかり刻印が残されていた。

 謎の情報提供者ディープ・スロートと主人公(レッドフォード)とのやり取りで、容疑者のひとりについて「君が知らないことはまだある。リディはある時ロウソクの上に手をかざして火傷するまで動かさなかった。気にしないことが秘訣だ、と彼はいった」「その謎がどういう意味かよくわからないんですが?」

 電話取材で相手の痛いところを突いた時、その相手が「そんなことを書くな。書いたら絶交だぞ」「我々はいつ友人になったんですか?」

 こういうものすごくシリアスな状況で、シレッととぼけたことを紛れ込ませるのが如何にもゴールドマン流だ。意識して観なかったら気がつかなかったかもしれないけれど。次は「明日に向かって撃て」でも観てみようかな。

☆☆☆