超生命ヴァイトン(エリック・フランク・ラッセル)

 うちの近所の図書館は開架と閉架兼用の書庫システムになっているので、そのジャンルの古典や定番の本以外のちょっと古めの本を借りる時は、書名でピンポイントに貸出申込みすることになる。だから開架コーナーに見かけないタイトルや古い感じの本が並んでいたら、誰かが最近借りて返ってきたものがたまたま置いてあるってことなんだけど、そういう本を発見したら積極的に借りるようにしている。 
 というのも、「借り手が題名を把握して借りないといけない」ということは、何かしらのトピックに関連して借りている可能性が高いから。つまり雑誌の○○ジャンルのオールタイムベストに挙げられていたとか、ネットで話題になっているというケースが多い訳である。実際帰ってから検索してみるとなるほどね、と納得することが多い。要は僕がミーハーということなんですけど。

 でも今回のこの本は、何でまたわざわざ掘り起こしたのか全然分からなかった。ぐらいの凡作。陰謀史観というかザックリいうとトンデモ本の類。かろうじてSF側に踏みとどまってはいるけれど、テイストとしては高橋克彦チックだったなあ。作者がネタとして割り切って書いている、のではない危さを感じる点において。

 人間の(戦争を含む)文化的活動は、目に見えない高等エネルギー生命体ヴァイトンの「牧場」として営まれているにすぎなかった!精神を操るヴァイトンとの圧倒的な力の差を前にして、人類はいかに戦いを挑むのか?

 SF小説史での位置づけは「人類家畜テーマ」の始祖ということなんだけど、古典を押さえておくということをモチベーションに読み通すのも結構しんどかったです、正直。

☆☆