プリンセス・ブライド(ウィリアム・ゴールドマン)

 W・ゴールドマン祭り続行中。
 「最後のユニコーン」的なシニカルな視点をもったファンタジー。あるいは「現代においておとぎ話を語るとはどういうことか」について自覚的な小説。ゴールドマンが「プリンセス・ブライド」という小説に出会い、いかにしてその抜粋版を作るに至ったか、の経緯について語る部分が序章としてあり、入れ子式のメタな構成になっている。(もちろん序章にあたる部分からしてホラな訳なんだけど、几帳面にそれを解説している「あとがき」が逆に可笑しかった。)

 作者の作品では「ブラザーズ」に顕著だったけど、ある目的を達成するために信じられないほどの鍛錬(または研究)を繰り返して、ついに常人の限界を凌駕するという人物描写が多い。僕はそういうエクストリームさ加減が最高に好きで、この作品はそういう常軌を逸したキャラ(絶世の美女、非道で強靭な王子、青年海賊、魔剣士、馬鹿力)大集合なので楽しくて仕方なかった。またその凄さ加減の描写がいちいち具体的なのがこれまたゴールドマン節(例えばヒロインのキンポウゲが原石から磨き上げられることで「世界美女ランキング」の番付が書き換えられていく)。

 絶対に死んだと思われたキャラクターが次の瞬間奇跡の大逆転を見せるのもジャンプチックな漫画力。いやあ笑った笑った。映画化されたほうも観てみたいけれど、失望させられるんだろうなあ・・・監督はロブ・ライナーだそうです。

☆☆☆☆