マスク2(ローレンス・グーターマン)

 ディズニーアニメのビデオスルー続編を見るような中途半端なでき。加えて僕の近所の映画館では吹き替えオンリーだったのだが、その声優陣も今ひとつ。広告効果を狙いたい気持ちは分かるが、芸能人をあてるのはちゃんと考えてからにしてほしい。

 今回は、「トムとジェリー」の真ん中の奴こと「テックス・エイヴァリー作品」リスペクトではなく、むしろ「トムとジェリー」本編のほう。というよりトムとジェリーの繊細さもなくて、「ワイリーコヨーテとロードランナー」みたいなドタバタ風。それを実写でやったらどうなるか、というのは散々「ホーム・アローン」で見せてもらった訳で新鮮味は薄い。(そういえば真ん中の奴、ということでいえば「赤ちゃんのおでかけ」も実写化されてたね。観てないけど。)

 そもそも前作のキモは、子供心にも何となく大人向けだったテックス・エイヴァリーの「テイスト」を実写化したところにあったわけで。レトロなスタイルも粋ならば、映画を彩るスイング系サウンドトラックもクールだった。製作陣はそこら辺を読み間違えてしまったというか、分かっていながらも2番煎じにならない方法論を確立できないままつくってしまったという印象である。つまりドタバタした本編同様、音楽も衣装も子供じみたものになってしまった。まあファミリー・ムービーならこれくらいでもいいのかもしれないが。

 半端な印象はスター不在(まあアラン・カミングはでてるけど。この人もいつも同じような役を振られがちですね)であることも原因だろう。事実上前作でブレイクしたジム・キャリーキャメロン・ディアスの2人の輝きは尋常じゃなかった。当時のギャラから考えたらものすごいコスト・パフォーマンスのよさだ。今回も一応ミュージカルシーンはあるのだが、あまりの素人ダンスに見ているこちらのほうが申し訳なくなるショボさ加減。もちろん監督やスタッフの力量の違いはあるのだろうが、キャリーの芸達者ぶりが再認識される場面ではあった。前作を愛するあまり辛口になったが、シモネタのゆるさ加減も許せないレベルだったもので。

☆☆