ゴシカ(マチュー・カソヴィッツ)

カソヴィッツ作品というと、「クリムゾン・リバー」でのゴシック趣味というか西洋風横溝正史的世界観がかなり好みで、一本の映画としてみるとつじつまが合わないところなんかもあって欠点はいろいろ指摘できそうなのだが、まあ雰囲気が楽しめたからよかったのではないでしょうか、という感想だったのである。

さて本作であるが、まったく同じ感想。雰囲気づくりは上手いけど、話はボロボロ。ただ今回は肝心の物語の中核をなすものが「ミステリーゾーン」的というか、安いという意味では「世にも奇妙な物語」的というべきか、1発ネタなのであった。ゆえに1時間30分の尺すら長く感じるほどの底割れ感。演出自体は上手いのに早いとこオチをつけてもらえないかなあ、という気分になった。

前半の「自分の記憶がない間に殺人を犯したことにされてしまっている」という状況の緊迫感は、ハル・ベリーの好演もあってなかなかスリリングだったけど。あのテンションが作品全体を通して持続すればよかったのに。
☆☆1/2