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デビル(ジョン・エリック・ドゥードル)

80分という潔い尺が良い。シャマランの若手発掘企画ということですが、画作りも役者の雰囲気もリッチで、バジェット以上の格を感じさせる仕上がりになっていたように思います。※ 変にプロットをひねり過ぎることなく、不穏なトーンと緊迫感で一気に結末ま…

ダークナイト ライジング(クリストファー・ノーラン)

見事に完結させていたと思います。以下、感想メモ。(ネタバレありなので未見の方はご覧にならないでください。) ・噂されていた以上に『パトレイバー2』色が強かった。テロリスト集団と地下に潜った国家組織の暗闘という構図もそうだけど、橋を落としてゴ…

グスコーブドリの伝記(杉井ギサブロー)

ううむ・・・『銀河鉄道の夜』再び、という夢を見た僕がいけなかったのでしょうけれども。結末含め「む?」となることが多かったのも事実。危惧していた声優陣(小栗旬など)はむしろ健闘していて※1、やっぱり脚本の問題が大きかったか。加えて、あれこれあ…

アメイジング・スパイダーマン(マーク・ウェブ)

僕のスパイダーマン原体験は御多分に洩れず東映特撮の「スパイダーマン」なんだけど、程なくして、アメコミの伝道師である小野耕世編訳の「よりぬきスパイダーマン」的な(有名ヴィランの登場エピソードを日本のいわゆるコミックスのフォーマットでまとめた…

密告・者(ダンテ・ラム)

潜入捜査ものというのはアクションよりも登場人物の葛藤のドラマに重きが置かれるものですが(と書いた瞬間『ワイルド・スピード』を思い出してしまった。まあそれはそれとして…)、例えば『インファナル・アフェア』がサスペンス醸成のため、あえて作り物め…

セレニティー(ジョス・ウェドン)

低予算の限界が端々に見られつつも、その心意気で傑作足りえている映画というのが大好物なもので(『ピッチブラック』とか)、この作品もお気に入りになりました。 冒頭のケレン味あふれるマトリョーシカ構造も導入としてはなかなか見せる。クンフー使いの戦…

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(バンクシー)

ガチなドキュメンタリーかと思ったら手の込んだフェイクだったんですね(だって、枠物語たるMBWの顛末を最初からカメラが追ってるし)。 それはさておき、登場する(インベーダーのような)ストリートのポップカルチャーヒーローを見ていると、リアルタイ…

エリート・スクワッド/ブラジル特殊部隊BOPE(ジョゼ・パジーリャ)

さてさっそく続編を観てみました。改めて思ったけれど、このシリーズは諦観滲む主人公のモノローグが素晴らしい。やせ我慢と強大な権力に対する無茶な戦いという点でハードボイルドの美学に通じるものがあるから、この語りのスタイルも意図されたものなんで…

ラブ・アゲイン(グレン・フィカーラ、ジョン・レクア)

話題の作品だったので気になってはいたのですが、ようやく見ることができました。とにかく脚本がよくできていることに感心することしきり。個人的には、(例えば『ダイ・ハード』のように)狙って達成できたという以上に映画の女神の思し召しで奇跡的にもの…

エリート・スクワッド(ジョゼ・パジーリャ)

各所で話題になっていましたが、なるほどベルリン金熊ウィナーというのも納得の傑作でした。 ブラジルのファベーラを舞台にしたドキュメンタリータッチのルックと語り、という点ですぐに想起されるのはやはり『シティ・オブ・ゴッド』ですが、脚本が同じ人だ…

MIB3(バリー・ソネンフェルド)

もともと移民を宇宙人になぞらえて、かつ都市伝説のパロディ風味のブラックコメディとして作られた本シリーズ。個人的にはしょーもないギャグをコンボで叩き込んでくることで脱力気味に笑わされてしまった2作目が結構好きだったので、3作目はどうなってる…

DATSUGOKU 〜脱獄〜(ルパート・ワイアット)

タイトルだけ見たら、一山いくらで買い付けてきた最近のセガール映画みたいだけど、『猿の惑星 創世記』の監督の出世作ということで観てみました(原題:The Escapist)。『創世記』は思わぬ傑作で、映画とはまずもって画で語るメディアだ、ということを改め…

トゥインクル・トゥインクル・キラー・カーン(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)

なるほどこれは怪作。全く事前情報なしにどこに連れて行かれるか分からないままに見るのが正解の映画だと思います。しかし、テーマに対して真摯過ぎる余りこういう表現にならざるを得なかった、という作り手の切実さをひしひしと感じました。それで監督は誰…

ももへの手紙(沖浦啓之)

端的にいうと「つり橋わたれ」映画版、みたいな話でしたね。以下、感想メモです。 ・開巻当初からディテールに目を奪われる。海面の映り込みの波によるゆがみのナチュラルさや、フェリーのデッキの錆具合。これは最後まで一貫していて、雨の降り始めの雨粒に…

スマグラー/おまえの未来を運べ(石井克人)

今回の映画にはしゃいだ「おもしろ」要素はいらなかったんじゃないかと言わざるを得ない。「そちらの世界でしか生きていけない人間たち」の生態を描くシーンはなかなか好調だっただけに、じっくり裏稼業のリアリティを積み重ねていくだけでも面白かったのに…

ドライヴ(ニコラス・ウィンディング・レフン)

いってみれば70年代犯罪サスペンスの作法で撮られた『シェーン』ですよね※1。毀誉褒貶ある作品ですが、僕の大好きな要素で構成されていたのでお気に入りの映画になりました。 ・大胆なジャンプカットを多用して細部を想像に委ねたり、逆に隣人の人妻とそ…

レイン・オブ・アサシン(スー・チャオピン、ジョン・ウー)

いやー、とても面白かった。武侠映画のお約束などをよく踏まえて作られた作品でした。物語:手に入れた者は武術の奥義を極めることができるといわれる「達磨大師のミイラ」が暗殺団「黒石」に奪われる。だがその仕事の誤算は組織の一番の使い手、「細雨」の…

マネーボール(ベネット・ミラー)

結論から言うと期待通りであったし、また弱点も想像通りだったという印象。 ・監督は『カポーティ』の人であるわけですが、あの作品での難点が今回もやや散見されました。端的にいって盛り込む要素を欲張り過ぎのきらいがあって、剪定すべき枝葉を見極めきれ…

スーパー!(ジェームズ・ガン)

『キック・アス』、『ディフェンドー』とヴィジランテ競作で話題になっていた訳ですが、ようやく3本とも観終わったので感想を。最初に結論を書いてしまうと、結局は青年の成長を描いたストレートな娯楽作だった『キック・アス』、変則人情長屋ものだった『…

シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム(ガイ・リッチー)

相変わらずガイ・リッチーは快調。以下メモです。 ・洞察力で格闘すら先読み、というのは前作でも書いたけどジョジョっぽい。 ・「ワトソンはアフガン帰りの名スナイパー」という前作の設定をちゃんと今回も怠らないのが、サービス精神において信頼できます…

ドラゴン・タトゥーの女(デヴィッド・フィンチャー)

なめらかな語り口で紡がれる娯楽作。有体にいって話の骨格はどうということはない(エピソードを拾ってみれば些か過剰にセンセーショナルな線を狙いすぎているきらいもある)のだけれど、洗練を極めた演出で2時間38分たっぷりフィンチャーにもてなされた…

ゴーストライター(ロマン・ポランスキー)

正直、登場人物が全員出揃ったところでネタは割れているようなものなんだけど、それは欠点では全くなくて、クリシェの枠組みだけでどこまで魅せきるかという一流シェフの試み※1を味わうような作品でした。そういう意味では世評芳しからぬ『ナインスゲート』…

ラスト・ターゲット(アントン・コービン)

映画の印象というものは観たときのコンディションに大きく左右される、ということはよく言われるところですが、今回はそれが身に染みたというか。あまり主人公に感情移入できなければ、「70年代クライムサスペンス風の小品」※1にすぎない映画だと思われま…

英国王のスピーチ(トム・フーパー)

ごく大雑把にいって、およそ娯楽作というものは「(物理的・精神的な)障害の設定→主人公の成長→打破」という形式を取るものだと思うのですが、それは青春もの、恋愛もの、もちろんアクションものも、というようにジャンルを問いません。この物語もその例に…

イリュージョニスト(シルヴァン・ショメ)

去りゆく時代への惜別の思い。ちょっと感傷的にすぎるのかもしれないけれど、こういう話が好きだから仕方がない。去年観てたらベスト3に入れていたと思います。 ・手書きの味をわざと残したような作画の中で、3DCGのオブジェクトを馴染ませているのが凄…

復讐捜査線(マーティン・キャンベル)

メル・ギブソンを久しく見かけなかったけれども、この映画ではいい枯れ具合。と、それはさておき、ほとんど今の日本が置かれている状況のメタファーみたいな話で、その骨太なテーマにしばし呆然の体でした。タイトルやメル・ギブソンのフィルモグラフィから…

フライトナイト:恐怖の夜(クレイグ・ギレスピー)

いやー快調快調!予想外の佳作でした。オリジナルの方は、80年代に映画を自分で選んで見始めた頃の幸せな記憶と渾然一体になっていて(『ロストボーイ』なんかも同じフォルダ)、その懐かしさだけで足を運んだのだけど。大傑作という訳ではないけど、これ…

ピラニア3D(アレクサンドル・アジャ)

私としても映画初めがこの作品というのは内心忸怩たる思いがあるのですが、ディスカスさんの計らいなればやむを得ず。おっぱいと悪趣味なショックシーンがどちらも過剰に盛り込まれているのが売り、だけど演出は手堅いというのがもっぱらの評判でしたが、ま…

ハンナ(ジョー・ライト)

てっきり戦闘美少女ものだと思って観たら、不思議少女地獄めぐりものだったんですね。最初にいってよー。一種異様な世界観を楽しむべきものであって、エンターテインメントとしてのエスピオナージュやそれを成立させる脈絡の部分にこだわると肩すかしかもし…

今年のベスト3

1 X-MEN:ファースト・ジェネレーション 2 猿の惑星:創世記 3 リアル・スティール 1位は色々な要素が万遍なくステキすぎたので・・・今年は振り返ってみると個人的に高評価な作品が多かったのだけど(DVD鑑賞含む)、時間が経ってみると意外と印…

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル(ブラッド・バード)

『Mr.インクレディブル』の時にもかなり匂わせていたけれど、完全に007を志向して撮られている感じだったですね(とくにロジャー・ムーア時代の)。いやあ面白かったです。という感想が全ての作品ですが、いくつか気になった点をメモ。 ・エージェント…

リアル・スティール(ショーン・レヴィ)

基本に忠実な、これ以上ないくらいストレートなストーリー。演出が的確ということが大前提だけど、衒わないことの力強さを感じさせる作品でした。 ボーモントやマシスンといったトワイライト・ゾーン関係の作家(グループ名失念…)は、ギャンブルやスポーツ…

狼たちの処刑台(ダニエル・バーバー)

先日のロンドン暴動を予見するような内容でもあり(09年製作です)。不穏な空気は映画として取り上げられるほどにリアルなものとしてあちらでは感じられていたということでしょうか。邦題に「狼たちの」という枕詞が振られていることからも察せられるよう…

インモータルズ 神々の戦い(ターセム・シン)

「不死者の群れ」を観てまいりました。監督については『ザ・セル』が余りにもあからさまな現代美術の剽窃だったので、さすがにそれは如何なものか?と思っていたのだけど、『落下の王国』については、海外に撮影に出かける度にちょこちょこ撮りためたという…

ステキな金縛り(三谷幸喜)

正直、深津絵里のPVを2時間半も見せられても・・・という感想。ここから先も厳しいことしか書きませんので、気持ちよく楽しまれた方は読まないでください。 割と深津絵里は「嫌いな人なんているの?」という言い方をされる女優さんだと思うのだけど、僕は…

ミッション:8ミニッツ(ダンカン・ジョーンズ)

監督自身がその影響を語っているように、『12モンキーズ』の変奏というか同質のロマンティシズムをはらんだ作品だな、と感じました。以下ネタバレ前提なのでご注意ください。 ・やっぱり一番わくわくしたのは、作品世界のルール設定が観客にも不明で、なぜ…

ファースター 怒りの銃弾(ジョージ・ティルマンJr.)

すごく話題になったという訳ではないけれど、良い評判を耳にしていたのでDVD鑑賞。まあ完全にステレオタイプの登場人物しか出てこないし、物語も類型的といえばそうなんだけど、短い尺と無駄が一ミリもない筋運びという点でだけでも好評価。 とにかく各登…

アレクサンドリア(アレハンドロ・アメナーバル)

ここまで直球でキリスト教に対してシビアな視点で作品を作るというのも、随分肝が据わったことだなと、まず真っ先に思いました。これは完全に邪推ですが、監督はゲイをカミングアウトしている人でもあるので、悪い意味でのキリスト教の厳格さに不愉快な思い…

カウボーイ&エイリアン(ジョン・ファヴロー)

さっき見た夢、西部開拓時代が舞台なんだけど、なんかエイリアンが出てきてさーカウボーイが戦ってんの。というのが鑑賞後の印象でした。画づらは面白いんだけど、細部の辻褄が合わないのにどんどん話が進んでいくところとか、空を飛ぶ→しかるのち落下のイメ…

猿の惑星:創世記(ルパート・ワイアット)

評判を聞いて。予告編を見ても全く食指が動かなかったのだけど、実際見てみたら確かに面白かったです。過去のB級作品をS級バジェットでリメイク、という企画はいろいろ作られているけれど、せっかくやるならこれくらいしっかり作ってほしい、という理想的な…

キャプテン・アメリカ(ジョー・ジョンストン)

先日の『ロサンゼルス決戦』の時も思ったのだけど、アメリカの気分としては先行きが不安すぎて「アメリカらしさとは何ぞ?」みたいな迷走モードのような気がする。多分この映画のちょっと引いてしまうほどの明朗さ(特に前半の)はその裏返しではないかと思…

セクシー・キラー リベンジ・オブ・ザ・デッド(ミゲル・マルティ)

女シリアルキラー無宿といった趣の映画。導入の『スクリーム』のクオリティの低いパロディで些か不安になるけれど、次いで冒頭で『タクシー・ドライバー』の例の鏡のシーンのパロディまで畳み掛けてくるので、そこまでやってくれるなら或いは、と思ったので…

世界侵略:ロサンゼルス決戦(ジョナサン・リーベスマン)

VFXの技術委託をしてたら上澄みをチョロまかされて、軒を貸して母屋を取られた(←ちょっと違う)、みたいな騒動があって。しかも先に公開して売り抜けるという香港映画のようなしたたかさで上映された『スカイライン』を見てみると、えぇ!こんなこぢんま…

アジョシ(イ・ジョンボム)

なんだか「ぼくのかんがえた96時間(もしくはレオン)」みたいな映画でした。(想像するに当初の構想は主人公60歳だったそうだから、本当にそうだったのではなかろうか。)話がベタなのは全然OKだけど、ディテール雑すぎ。 ともあれ、こういうタイプの…

悪魔を見た(キム・ジウン)

うーん、何度か書いているけれど韓国映画のこのジャンルのエクストリーム化は行き着くところまで行き着いて、もはや空洞化している気がします。一番気になったのは映画を成立させるテーマに義が感じられないところ。(そもそも「エンターテインメントの枠内…

言えない秘密(ジェイ・チョウ)

ネタバレで。前半の見せ場、ピアノバトルの撮り方がCGでギューンと鍵盤内部に潜り込むようなカメラで、これって『ファイト・クラブ』っぽいよな、と思ってたら本当にそういう話になるからビビッた。・・・と見せかけて、本当はジャック・フィニイ風の話な…

乱暴と待機(富永昌敬)

大きいおなかを抱え、郊外の鄙びた市営住宅に越してきた番上夫婦。しかし偶然にもその隣には妻あずさとは浅からぬ因縁のある奈々瀬が住んでいた。しかもそこには赤の他人のはずの旧知の英則までもが同居しており、奈々瀬は彼をお兄ちゃんと呼ぶのだった・・…

ラ・ジュテ(クリス・マルケル)

『12モンキーズ』好きということに関しては人後に落ちないことをもって自負している私ですが、元ネタであるこの映画は見逃してた(VHSソフトのとき)・・・それがDVD再発でレンタルになっていることを先日知って、さっそく観てみました。『12モン…

冷たい熱帯魚(園子温)

どこのシーンが一番怖かったかって、冒頭の「食洗機に叩き込まれる、ろくに洗われていない皿」の暴力的なカット。ああいう生活は確かに存在するんだろうなと。 ☆☆☆1/2

機動警察パトレイバー2 the Movie(押井守)

恥ずかしながら今更初めて観ました。メカの構造などのディテール描写は今の目で見ても素晴らしいクオリティ。なるほどハリウッドで引用されるのもむべなるかな、という感じ。 ただその一方で、中心人物たちが語る哲学的(風)、あるいは衒学的といってもいい…