映画

マラソンマン(ジョン・シュレシンジャー)

今日は風邪をひいて寝込んでて持ってたDVDを久しぶりに見返していたのだけど、全編を通じて醸し出されるサスペンスフルな雰囲気といい、原作の(自身の)ひねくれたストーリーを見事にソリッドな映画脚本に仕立て直したゴールドマンの手腕といい、実によ…

ジャンゴ 繋がれざる者(クエンティン・タランティーノ)

<ネタバレありです>ようやく観ました。今回はまた堂々たる正攻法で撮ってましたね。『イングロリアス・バスターズ』にはまだあった「標的ここ→」みたいな照れ隠しは封印、ストーリーテリングも奇を衒わずど真ん中。実は『イングロリアス〜』の時危惧してい…

ヒッチコック(サーシャ・ガヴァシ)

これまであまりスポットライトがあたることのなかった糟糠の妻、アルマのヒッチコック作品における功績を、『サイコ』の成立過程のあれこれの騒動に焦点を絞って描く、という作品。名優ぞろいなので飽きることなく最後まで観られるんだけど、演出の手つきが…

桐島、部活やめるってよ(吉田大八)

宏樹くんの今後は如何に?というオープンエンドなところ含め、「中学生日記」映画版といった趣でした。しかし正直個人的には世評ほど興奮できなかったのが残念。学校という世界の階層構造としての捉え方が図式的に過ぎると感じたし(あえてなんだとは分かり…

キャビン(ドリュー・ゴダード)

ちょっとネタバレ:結末にみる「絶望の後に残る詩情」のような感触が、そのベタさ加減ゆえに大好きなんだけど※、なるほど『クローバー・フィールド』の脚本の人だなと納得いたしました。今度は語りのトリッキーさとか構造のトリッキーさに拠らない正攻法の話…

ジャッジ・ドレッド(ピート・トラヴィス)

いつもの仕事のつもりで乗り込んだ高層ビル、しかしそこには数において圧倒的に勝る犯罪者の群れが!というシチュエーションは完全に先日観た『ザ・レイド』と一致してるんだけど、予算はなくても心意気と工夫で魅せるぜ!という志においても一致していたの…

ザ・レイド(ギャレス・エヴァンス)

あまりに流麗かつ苛烈な殺陣で、どうやって撮ってるのかさっぱり分からない(くらい凄い)という意味で映画の原初的な興奮を久々に味わわせてもらった気がします。躍動する身体が物語そのものという点で、バスター・キートン→ジャッキー・チェンに連なる系譜…

ラースと、その彼女(クレイグ・ギレスピー)

ラースはアメリカ中西部の小さな町に住む寡黙な青年。兄夫婦は内気すぎる彼を気遣っていたが、ある日彼が待望の「彼女」を連れてくるという。しかし喜んで出迎えた「彼女」:ビアンカはラブドールだった。奇矯ともいえるラースの振る舞いに、当初町の人々は…

ブロンソン(ニコラス・ウィンディング・レフン)

監督作品は『ドライヴ』しか見たことがなかったけど、80年代の意匠でニューシネマ風アクションをやる、というのはあえて選択したスタイルだったのだなとよくわかりました。というのもこちらは全然違うから。ちなみに今作はイギリスが舞台だからか、リチャ…

ホビット 思いがけない冒険(ピーター・ジャクソン)

今更あえて申し上げるならば、『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズはエピソードの消化に追われて些か駆け足すぎて、映画として見た場合には平板な印象が最後まで拭えませんでした。(かつて思い描いていた絵をディテールを怠ることなく映像化してくれた、…

ミッドナイト・イン・パリ(ウディ・アレン)

ジャズエイジいいわー、ロストジェネレーションいいわー、もちろんパリ好きだーって言ってるだけの映画なのに、これが監督史上最高の稼ぎを上げた作品とは・・・いいのかしら?いやこういう話だからこそなんでしょうね。 という風にちょっと乗り切れない印象…

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(庵野秀明(総監督))

やりたいことは旧劇場版でやり尽くしたんだから、今回こそは王道エンターテインメントできっちりすっきり決着を付けてくれると思ったんだけど、そう上手くはいかなかったか。しかしじゃあなんでまたやり直したの?と観客の立場としては言いたいね。ミサトさ…

裏切りのサーカス(トーマス・アルフレッドソン)

せっかく一流の食材を揃えながら、いざ出来上がったものは「どうしてこんなことに?映画ってやっぱり難しいね…」という悲劇をこれまで我々は何度も目にしてきた訳ですが、その点、準備された一級の素材を期待されうる最高の料理として供してくれたトーマス・…

リンカーン/秘密の書(ティムール・ベクマンベトフ)

リンカーンは実はヴァンパイア・ハンターでもあったのでした!という出オチ企画なのでそもそも物語には期待してなかったのだけど、それにしてもベクマンベトフ作品にしては存外薄味。 ・いくつかのシーンは先日読んだ『フィーヴァードリーム』まんまの画で、…

ファミリー・ツリー(アレクサンダー・ペイン)

大仰な話運びではないのに、そして劇的なことは何も起こらないのに、不思議と惹きつけられるのがこの監督のストーリーテリングの素晴らしさですね。映画の展開のために「配置した」と感じられるエピソードがない自然な語り口。有機的な構成とドライブ。 当人…

ボーン・レガシー(トニー・ギルロイ)

いやー・・・これはあかんやろ・・・という感じでした。こんなんじゃ劇場を出ても「背筋を伸ばして早歩き」になる観客はいないぜ。せっかく美しく完結した物語をあとから濁すようなことにならねばよいが、という不安的中。以下簡単にメモ。 ・3作目ですら些…

るろうに剣心(大友啓史)

まさしく世間一般で言われている(印象として)のと同じ感想を持ちました。曰く「アクションは頑張っているけど、ドラマが…」。 ・確かにアクションは近年の邦画としてはかなり上手くいっていた印象。とくに外印(綾野剛)との近接戦闘は『アジョシ』に比肩…

アベンジャーズ(ジョス・ウェドン)

まさしく王道のヒーロー映画!まずは監督の手際の良さを賞賛したい。例えるなら『ダイハード』みたいな、展開のスムーズさとテンポの良さそのものが観客のご馳走といった性格の作品ですね。無駄のない筋運び、しかし駆け足ダイジェストといった印象はなくて…

トータル・リコール(レン・ワイズマン)

やはり『ブレードランナー』で提示された未来都市のインパクトを更新するのは無理なのか・・・この作品では最初から刷新へのチャレンジなど諦めて、最新技術による洗練の方向で勝負していたのはむしろ潔くて良かったのかもしれません。猥雑なアジアンテイス…

プロメテウス(リドリー・スコット)

『星を継ぐもの』暗黒編という感じの話でしたね(まあ元々そういう話ではあるのだけど)。「プロメテウス」という思わせぶりなタイトルが、作品の象徴として上手く機能していないのが如何なものかとも思うのですが・・・エイリアンシリーズをほぼリアルタイ…

デビル(ジョン・エリック・ドゥードル)

80分という潔い尺が良い。シャマランの若手発掘企画ということですが、画作りも役者の雰囲気もリッチで、バジェット以上の格を感じさせる仕上がりになっていたように思います。※ 変にプロットをひねり過ぎることなく、不穏なトーンと緊迫感で一気に結末ま…

ダークナイト ライジング(クリストファー・ノーラン)

見事に完結させていたと思います。以下、感想メモ。(ネタバレありなので未見の方はご覧にならないでください。) ・噂されていた以上に『パトレイバー2』色が強かった。テロリスト集団と地下に潜った国家組織の暗闘という構図もそうだけど、橋を落としてゴ…

グスコーブドリの伝記(杉井ギサブロー)

ううむ・・・『銀河鉄道の夜』再び、という夢を見た僕がいけなかったのでしょうけれども。結末含め「む?」となることが多かったのも事実。危惧していた声優陣(小栗旬など)はむしろ健闘していて※1、やっぱり脚本の問題が大きかったか。加えて、あれこれあ…

アメイジング・スパイダーマン(マーク・ウェブ)

僕のスパイダーマン原体験は御多分に洩れず東映特撮の「スパイダーマン」なんだけど、程なくして、アメコミの伝道師である小野耕世編訳の「よりぬきスパイダーマン」的な(有名ヴィランの登場エピソードを日本のいわゆるコミックスのフォーマットでまとめた…

密告・者(ダンテ・ラム)

潜入捜査ものというのはアクションよりも登場人物の葛藤のドラマに重きが置かれるものですが(と書いた瞬間『ワイルド・スピード』を思い出してしまった。まあそれはそれとして…)、例えば『インファナル・アフェア』がサスペンス醸成のため、あえて作り物め…

セレニティー(ジョス・ウェドン)

低予算の限界が端々に見られつつも、その心意気で傑作足りえている映画というのが大好物なもので(『ピッチブラック』とか)、この作品もお気に入りになりました。 冒頭のケレン味あふれるマトリョーシカ構造も導入としてはなかなか見せる。クンフー使いの戦…

イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ(バンクシー)

ガチなドキュメンタリーかと思ったら手の込んだフェイクだったんですね(だって、枠物語たるMBWの顛末を最初からカメラが追ってるし)。 それはさておき、登場する(インベーダーのような)ストリートのポップカルチャーヒーローを見ていると、リアルタイ…

エリート・スクワッド/ブラジル特殊部隊BOPE(ジョゼ・パジーリャ)

さてさっそく続編を観てみました。改めて思ったけれど、このシリーズは諦観滲む主人公のモノローグが素晴らしい。やせ我慢と強大な権力に対する無茶な戦いという点でハードボイルドの美学に通じるものがあるから、この語りのスタイルも意図されたものなんで…

ラブ・アゲイン(グレン・フィカーラ、ジョン・レクア)

話題の作品だったので気になってはいたのですが、ようやく見ることができました。とにかく脚本がよくできていることに感心することしきり。個人的には、(例えば『ダイ・ハード』のように)狙って達成できたという以上に映画の女神の思し召しで奇跡的にもの…

エリート・スクワッド(ジョゼ・パジーリャ)

各所で話題になっていましたが、なるほどベルリン金熊ウィナーというのも納得の傑作でした。 ブラジルのファベーラを舞台にしたドキュメンタリータッチのルックと語り、という点ですぐに想起されるのはやはり『シティ・オブ・ゴッド』ですが、脚本が同じ人だ…