マグニフィセント・セブン(アントワーン・フークア)

まずよかったのは、監督が「もし俺に西部劇のオファーがあったら、こんなことをやりたいな…」と思っていたであろうことが、その気持ちが、全部画面に炸裂していたところ。今に続く西部劇の歴史が培ってきた様式美、ケレンが余すところなくサンプリングされて…

クライム・ヒート(ミヒャエル・R・ロスカム)

ビデオスルーという状況と邦題からすると、一番有名な出演者がスコット・アドキンスのB級アクション、みたいだけど全然違います(いや、そういうのも好きなんだけど)。観終わった後あまりに面白くて、つい久しぶりに感想を書きたくなった次第。 デニス・ル…

シン・ゴジラ(庵野秀明)

ファンの人が鼻息荒く「日本映画史に残る!」とまでいうほどの手放しの絶賛ではなかったのだけど、単純に面白かった、とも言い難いような、一種名状しがたい映画ならではの感興を催すという意味で、やはり傑作だと思いました。 物語全体のバランスもいいとは…

:『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』(J・J・エイブラムス)

ファンメイドとしてはすごくよくできてる、みたいな作品。調整能力に秀でたエイブラムスらしい仕上がりだった。(わざと)のったりのったりしたストーリーテリングとか、オールドファッションなプロダクションとか。 その一方で、全般的に各方面に配慮しすぎ…

007 スペクター(サム・メンデス)

これが邦画だったら「守ると誓った、この命を懸けて」みたいな如何なものかキャッチが躍るところだと思うけれど、僕は話としてはそういうの大好物なので、この作品も好きでした。(ネタバレ前提なので未見の方はご覧にならないでください。) とはいえ、クレ…

ヤンコ:モンクストラップ(レザーソール仕様)

いいかげんチーニーの黒靴がくたびれてきたので。実はチーニーのダブルモンクで探していたのだけど、チャーチ傘下から離れた現体制でのチーニーの靴をよく見てなくて、改めてまじまじと見るとなんかつくりがしょぼくなってないですか?(靴の作りに詳しくな…

マッドマックス:怒りのデス・ロード(ジョージ・ミラー)

なんというか神話的な物語であって、すばらしい傑作。 こういうのは偶然ではもちろん作れないのだけど、さりとて狙ったからといって作れるものでもなくて、言語化できない「名作としかいいようのない何か」の領域に達しているという意味で、映画史に残る作品…

ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション(クリストファー・マッカリー)

これまた傑作でした。 世評高い4については、部分部分で凄い!と思っても、全体としては(いまとなっては)凡庸な印象であって、一方がっかりと言われている3については「大作戦」感が良かったのでは…という感想を持つ者です。(結果として1が一番好き。)…

美味しいコーヒーって何だ?(オオヤミノル)

京都のカリスマ的ロースターが著名なロースター3人と対談する、という形式の本。 「コーヒー道」の求道者たち、なんて想像するだに面倒くさそうで、実際この本に登場する人々もその例に漏れないのだけど、未だに「正解」が確立していない世界だからこそ探究…

ホビット 決戦のゆくえ(ピーター・ジャクソン)

文句はない、が、面白くもない。というのが講評であります。 やはり当初の構想どおり二部作にすべきだったんや・・・合戦シーンで体感8割は長すぎる。 ☆☆☆1/2

寄生獣(山崎貴)

およそ望みうる最高の形で映画化されたといっていいのではないでしょうか※1。監督の作品にはこれまで正直いい印象がなかったので、嬉しい予想外でした。以下メモで。 ・アクションの構成について:パラサイト同士の斬撃の弾き合いなど、一撃の重さやスピー…

唐津焼:平皿(中里太亀)

最近、週末も仕事に出るような日々が続いていて、このまま慌ただしく年末を迎えるのもあれだから、と連休に家族旅行に出かけたのですが、子供が小さいこともあって近場で目的地は唐津に。現地ですることを特に決めていなかったので、そういえば有田や伊万里…

ニセ札つかいの手記―武田泰淳異色短篇集(武田泰淳)

いわゆるメインストリームとしての著作から外れた、知られざる奇妙な味の短編集、かと予想していたのですがさにあらず。ちょっと重めの中間小説といった趣の作品でした。 収録作品としては、大島渚によって映画化された「白昼の通り魔」が、抜け出すに抜け出…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(ジェームズ・ガン)

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』の時はいい意味で大人向けと書いたんだけど、こちらはいい意味で子供向けの映画だったと思います。例によってメモ形式で。 ・まず、堂々たる大作をジェームズ・ガンが真正面から作りきったという点に驚いた…

ビジネスブリーフバッグ:コーチ/ブリーカー

今使っているナイロン+レザーのバッグが相当傷んできていたので、そろそろ買わなきゃと思っていたのですが、ジッパーが壊れたのが最後の一押しになってようやく決断に至りました。(女性はともかく、男性はバッグをどういうタイミングで購入するのだろうか…

靴の手入れ

諸事情により自分のための散財がほとんどできなくなったので、物欲日誌に書くような内容もここのところあまりないんだけど、いろいろ使ってみて自分なりの定番「靴の手入れクリームリスト」ができたのでちょっと書いておきます。(手ごろな値段のもの。) ク…

ペンダントライト:PH50(ポール・ヘニングセン)

猫も杓子もダイニングテーブルといえばPH5っていうのがなあ・・・と思っていた時期が私にもありました。いやーベタ以外のなにものでもないのだけど、やっぱり定番の良さというものはあるのだなと。 予算的にPH4−3も検討したのですが、印象的に小さい…

蛇の卵(R.A.ラファティ)

読みにくいとされる『悪魔は死んだ』が作者の既訳長編ベストだと思っていて。理由を考えると、どんなに迂遠なストーリーテリングであっても、最終的には「冒険活劇もの」というジャンル小説の枠組みに帰ってくるという安心感があったから、かもしれない。 翻…

問いのない答え(長嶋 有)

SNSでゆるやかに繋がるここ最近の世間のありようをまるごと文章世界で再現する、ということと、そこから「秋葉原通り魔事件」や「東日本大震災」という大問題へ斬り込んでいく(ただしいつものようなささやかな身振りで)というのが今作のテーマだったと…

スタッキング可能(松田青子)

話題になっていた本ですね。装丁含め「ナイスセンスな案配」がトータルパッケージとして高評価だった理由である気がします。 表題作については、個人的にはいかにも現代文学的なトリッキーな構造というものがあまり好みでないので、正攻法で書いてほしいとい…

『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(アンソニー&ジョー・ルッソ)

これは良くできた映画でした。なんだか数合わせで作られたようなぬるま湯の前作からすると驚きの進歩。『アベンジャーズ』がいい意味でのお子様ランチだとすると、大人な風格のある作品だと思う。 ・冒頭のランニング合戦でのやりとりからして楽しい。気が利…

ロボコップ(ジョゼ・パジーリャ)

題材との相性から、パジーリャの起用を考えた人は慧眼なり!と当初発表されたときは思ったのだけど、先に結果を申し上げるならば、もっとやれるはずなのに…という感想になります。 オリジナルのどこがよかったのか改めて考えると、あのスッキリしない感じ、…

戦場のメリークリスマス(大島渚)

恥ずかしながら、DVDがレンタル化されて今回初めてみたのですが、たいへん面白かった。いいのは音楽だけ、という感想を当時から聞いていたから、もしかして本当にそういう作品なのではと危惧していたけど※1、杞憂でした。ちなみに僕の記憶の中では『地獄…

ホビット 竜に奪われた王国(ピーター・ジャクソン)

数多のフォロワーが発生したにも関わらず、やはりこの規模と精度でファンタジーを映画化した作品として『指輪物語』シリーズは突出してるな、と改めて思いました。ちょうど『スター・ウォーズ』EP4〜6がそうであるように。違いとしては、結局SWの1〜…

ミスター・ピーナッツ(アダム・ロス)

深く分かりあえたという一体感に陶酔し、しかしその次の瞬間には相手のことを何も知らなかったのだという事実に愕然とする。けれども赤の他人がたまさか同じ屋根の下に暮らしているに過ぎないということを鑑みればそれも理の当然。という、客観的に見れば誠…

ことしのベスト3

1 『ゼロ・グラビティ』 生きる意味を見失っていた主人公が、宇宙という子宮を通じて再誕する、そして生の重みを改めて感じる→「Gravity」/ということで言葉にすると身もふたもない感じになってしまうけど、全てを映像で語り切ってしまうその圧倒的な手際…

ゼロ・グラビティ(アルフォンソ・キュアロン)

端的に言うと「宇宙、すげえ・・・」ということに尽きるのですが。 まずキュアロンは『大いなる遺産』の監督として僕の前に現れた。映画はクラシカルな物語が要請する以上に過剰なエロスで、その歪さによって忘れがたい作品になった。次は『天国の口、終りの…

タタール人の砂漠(ディーノ・ブッツァーティ)

僕が勝手にイタリアの安部公房と思っているブッツァーティ。著者略歴で必ず触れられているタイトルなので気になっていたのですが、岩波で文庫化されたのでようやく読めました。 国の北部の要衝でありながら、不毛の地であるため閑職と見なされている要塞に勤…

ザ・クラッカー/真夜中のアウトロー(マイケル・マン)

開巻早々、雨にけぶるネオン、80年代な電子音楽、これってブレードランナー!?と思ったらこちらが1年早いんですね。シンクロニシティ? ともあれ、初監督作にはすべてがある、というのは本当だなと得心。裏街道渡世とはいえ、通さねばならない筋がある、…

ルール/無法都市(ウィリアム・カウフマン )

銃器考証のリアルさで世の好事家を唸らせたという評判の「低予算」ポリスアクション。特殊部隊出身のはぐれ刑事が、図らずも担当した事件でその軍隊時代の因縁と決着を付けなければいけなくなるという、まあ超定番な物語。けれども、バディものの要素もそつ…