デス・ウィッシュ(イーライ・ロス)

 ザ手堅いという感じ。ひどいことされたらきっちり借りは返すぜ!続編もよろしく!みたいな楽しさはありましたが…。

 オリジナル版は時代もあって陰惨な感じの後味で、そこで平仄が合ってる印象でしたが、こちらはあまり自警団行為、ダメゼッタイみたいな感じはなくて、下手したら全米ライフル協会推奨なんじゃないかという雰囲気すら出てくる。確かに「工具室」の演出にあれ?もしかして…だんだんあちら側に?というニュアンスはあるんだけど。(実は)弟関係の演出がものすごく不穏な雰囲気なので、首謀者はもしかしてと思っていたので、最後は「肉親でも許さん!」ああ完全にボーダー越えちゃったな…というオチなんだと予想してた。そっちの方がテーマからするとつじつまは合うような気がするんだけどなあ。

☆☆☆

※弟あんなに怪しげな演出する必要あった?別のバージョンの結末あるんじゃない?しかしヴィンセント・ドノフリオって若いころから一貫してこういう役ですね。

スカイライン -奪還-(リアム・オドネル)

 前作も相当変だったけど、今回は輪をかけて変だった。前半と後半で全然違うジャンルになっちゃう感じが、「昨日見た夢なんか変だったな…」という感触そのものというか。無茶しやがって、というのが率直な感想です。フランク・グリロがファースト・クレジットっていうのもすごい。

☆☆1/2

ブラック・クランズマン(スパイク・リー)

 黒人警官がKKKに潜入?!という出オチ的な設定が呑み込めなくて(実話ベースだけど)、「作られるべき意義」は理解できるけれど、作品としては今ひとつだったかな。

 どうしてそう感じるかという原因を考えるに、相棒で実際に潜入することになる白人警官のフリップが理知的な佇まいのアダム・ドライバーだったからではないだろうか。あれだったら自分で自律して潜入捜査できるのでは?と感じてしまって…。妻が夫のプロンプターみたいになる落語があるけど、そういうデクノボー的な人物じゃないと2人1役の面白さが出てこないんじゃないかな。

☆☆☆

拳銃使いの娘(ジョーダン・ハーパー)

 最近の傾向なのか、小説としては面白すぎるし格好良すぎる。つまりテレビドラマの脚本や梗概ならいいのだけど、小説という媒体としてはユーザーフレンドリーすぎるんじゃないかな。熊が代弁する描写や、登場人物描写(というより設定の説明みたい)に特にそれを感じました。

☆☆☆

パラドックス・メン(チャールズ・L・ハーネス)

 アクのないベスターみたいな感じだったかな。この作品のために発明された「ワイドスクリーン・バロック」ということばに感じる個人的なイメージは熱狂、熱血なんだけど、もうちょっと理知的でクールというか。

 といいつつ、矛盾するようだけど、ハッタリじみた危機の設定と解決仕方が能力バトル漫画っぽかった。ある意味その原点なのかも。

 ともあれ、ロマンがあって雰囲気は好きだったですね。ディストピア好きの向きにもぜひ。

☆☆☆1/2

スパイダーマン: スパイダーバース(ロバート・ペルシケッティ・Jr、ピーター・A・ラムジー、ロドニー・ロスマン)

 すごくくだけた調子でだけど、とても大切なことを伝えてくれていた気がする。想像以上に面白かった。あとエンドクレジットの演出って、ちょっと007っぽかったですね。

※子豚のスパイダーマン関係のエピソードはみんな気が利いてたなあ。

☆☆☆☆☆

スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(J・J・エイブラムス)

 結論としては、迷走した企画の割には健闘してたな、という印象。単独のSFアクション作品としてだったらすごく面白かったと思うのですが(荒れ狂う海上でのデス・スター廃墟を舞台にした決闘は名シーンでした)。JJはやはりTVの人であって、クリフハンガー的展開を思いつくような才能はあると思うけど、明確なビジョンがあって、どっしり構えて撮ったら評価は後からついてくる、というタイプではないんだろうな。

 ともあれ、幼稚園からリアルタイムでスター・ウォーズを追ってきた訳ですが、旧3部作公開当時、ルーカスが9部作構想があるといってたじゃないですか(半ばブラフだったと後から聞いたけど)。それを見届けられたということ自体が感慨深い。だって小学生の頃からこの9作目がどうなるか話題にしてたんだから。

☆☆☆☆(完結ということで。)